第14期会長 所信表明

2001.06.01

第14期全国曹洞宗青年会 会長 池上幸秀

 全国曹洞宗青年会第13期任期満了に伴い、第14期会長選考委員会のご推薦を賜り、平成12年度の総会にて承認を仰ぎ、薄徳不敏の身ながら、第14期会長の重責を担うことになりました。
新世紀の扉が開かれたとはいえ、ますます混迷する現代社会にあって、私たちは、高邁な理想と道念を幡印としながらも、自らの学道も大衆教化も決定的な手応えを感じ難い、どこまでいっても効果、結果が実感し難い。そこに葛藤が生起します。そのような葛藤こそが、実は青年僧が青年僧たるべき由縁をあらわしていると思います。
 来る平成14年に、高祖道元禅師七百五十回大遠忌の難値難遇の勝縁を青年僧の立場で相遇うことになりました。高祖様は、青年僧として宋国へ渡航され真っ直ぐな心で、大陸の禅風を学びとっていかれました。天童寺での若き高祖様と用典座とのやりとりはあまりにも有名ですが、用典座の「他は是吾にあらず」「更にいずれの時をかまたん」の語こそ、高祖様の純粋な心を揺さぶり、今日の法孫たる私たちにさえも鮮烈さをもって迫ってきます。青年会にとっての「慕古心」とは、青年期の高祖様の葛藤や峻烈な弁道のお姿に学ぶべきと位置付けて、活動を展開していきたいと考えます。所請青年僧と呼ばれる時間は限られたものです。その間に、若きエネルギーに裏打ちされた行動力と柔軟な発想力が存分に発揮され、個々の会員同士、また、地域単位の曹青組織間相互の交流が盛んとなり、そうして繋がれた縁が、今生、僧侶として生きる私たちにとって試練と同時に光明となるよう願うものです。
 惟るに、本会は先輩諸賢の情熱とご努力によって組織体としては、安定期に入っています。第14期は、結成30周年に向けて大飛躍できるよう、体力を蓄えるべき時機として特徴づけられるといえます。“新世紀プロローグ.とどろけ全曹青のハーモニー”というスローガンを掲げ、2年間の非常に限定された時間ではありますが、次のようなことを執行の方向付けとして、会員諸師と共に和合を第一として取り組んで参りたいと考えています。
1.全国の地域単位の各加入曹青会員に対する情報伝達媒体としての役割を発揮していく。禅文化学林や総会において全国の曹青会担当者会を開催し、地域での活動の実際を発表しあうなど地元曹青会の活性化に結びつくヒントを得る機会を提供する。また、広報誌「そうせい」や全曹青HP「般若」などを媒介として、情報交換していく。
2.高祖道元禅師七百五十回大遠忌に向け、報恩行としての実践事業を全国で展開する。特別委員会を設置して、原案を作成し、理事会で協議を重ね、平成14年に実施する。
3.青年僧の立場で、児童、学生、青年といった若年齢層との接点を探り、「家庭仏教」の再構築についての取り組みを行う。
4.全曹青執行部の活動内容の透明化を図り、その過程、成果について、加入曹青組織・会員はもとより多方面に理解をいただくよう工夫していく。
以上、全曹青は統一機関ではなく、個々の青年会において、情報や活力を供給しあい、活動をより活性促進するための連絡機関であることを前提として、総ての会員諸師と共に自己の道心を忘れず、ますます人間の価値観が複雑多様化していく現代社会に身を置いて、多くの葛藤と闘いながらも仏祖の安心を根付かせていくために精進して参りたいと思います。会員各位のご法愛とご協力ご支援を賜りますよう宜しくお願いいたします。

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