第23期 原会長所信表明

2019.05.20


第23期スローガン

『今を創ろう 明日を咲かそう』


所信表明

第23期会長 原 知昭

 全国曹洞宗青年会(以下、全曹青)が「大衆教化の接点を求めて」を理念として発足してから44年の月日が過ぎ、第23期目を迎える現在、日本国内では、新天皇即位、それに伴う改元や2020年には東京オリンピックパラリンピックが開催されるなど新たな時代への転換期に差し掛かっています。

しかしながら、国内情勢においては、頻発する自然災害、他国との関係悪化、年間20,000人を超える自死者、経済大国でありながら高い貧困率など、心豊かな社会とは言えない状況に置かれています。また、我々宗教者を取り巻く状況に目を向ければ、葬式仏教と揶揄され久しく、過疎化や少子高齢化による後継者問題、宗教儀礼を伴わない弔いなど、今まででは想像もつかなかった新たな価値観が生まれています。大衆との接点の中でその価値観と直面し、我々が求める接点と大衆の求める接点の違いに気づき、苦悩する青年僧侶も少なくないと感じています。

一方で、マインドフルネスや瞑想に世界的な注目が集まり様々な企業などで実践されるとともに「ZEN」として海外の方を含め坐禅への関心の高さ、全曹青で開催している精進料理教室「味来食堂」などへの反応を見ると、仏教へ期待値は高いとも感じます。第22期においては仏教への期待値を体現したイベントとして、大本山總持寺において全日本仏教青年会全国大会にあわせ禅文化学林を開催いたしました。「持続可能な開発目標(SDGs-Sustainable Development Goals)」を事業の根幹に据え、賛同してくださった様々な企業や団体の方々とともに大きなイベントが開催出来たことは、我々宗教者・仏教徒へのまさしく大きな期待の表れであることは想像に難くありません。

 さらには、平成30年11月に開催された「世界仏教徒青年会議」において、全曹青顧問である村山博雅師が日本人としてさらには大乗仏教圏初の世界仏教徒青年連盟会長に就任されたことは、同じ全曹青の一員として大変うれしく、誇りに思うと同時に、日本仏教そして曹洞宗にとってまたとない好機であると感じています。

第23期においては、物事が刻一刻と目まぐるしく変わる現代社会において、全曹青として、仏教徒として、寺院として、宗門として置かれている今をつぶさに見極め、大衆教化の接点を求めての原点に立ち返り、スローガンを『今を創ろう 明日を咲かそう』と掲げ以下を会務執行の目標に邁進してまいります。

【本会事業】

過疎問題への取り組み

 少子高齢化や大都市への人口流出により、地方寺院を取り巻く過疎問題は喫緊の課題であります。過疎問題は地方寺院に限った問題ではなく、大都市への檀信徒流出に伴う離郷檀信徒の受け皿など様々な問題を内包しております。鬼生田宗務総長も施政演説のなかでも過疎対策へ本腰を入れる方針を示されました。全曹青としても連絡協議体であるスケールメリットを活かし、次代を担う青年僧侶の考えや取り組みなどを集約共有して、過疎問題の現状を知り対策を検討して参ります。

会務運営ついて

 第22期において事前の会議資料閲覧などにより会議時間の短縮が実現しました。第23期においても事前の打ち合わせなどを密に行い、会議中の議論をより実りのあるものにするとともに、本会委員会含めて議事録など過去資料を簡単に閲覧できるシステムの構築を目指します。

また、会則に関して今の会務財務運営に適した会則であるか検討を行い、必要に応じて会則改訂を行います。
さらには、第25期に迎える創立50周年を視野に入れ、会務財務の整理を行い、円滑に創立50周年事業に取り組めるよう整備を進めていきます。

【委員会事業】

総合企画委員会

 頒布物は全国寺院、寺族、青年会員と直接関係性が持てる布教教化として非常に有用なものであります。頒布物の取捨選択も視野に入れ、利用者の皆様により有効活用してもらえるような提案を行うなど頒布事業を進めて参ります。

また、総合企画委員会の名に相応しく、頒布活動に留まらない他方面への活動を展開し、他委員会との連携を図りながら活動致します。

広報委員会

 広報誌「SOUSEI」の紙面の更なる充実して参ります。現代社会における諸問題への青年僧侶の取り組みや、各加盟団体の活動など広く紹介するとともに、主な郵送先であるそれぞれのご寺院においてご寺族や徒弟にもご覧いただける紙面作りを目指します。

HP「般若」、Facebook、Instagramにおける広報活動においてはそれぞれの特性を理解し、効果的な広報活動を展開して参ります。

教化委員会

 40周年事業として産声を上げた精進料理教室『味来食堂〜僧食を学ぼう〜』を継続事業として展開して参ります。関東近郊での定期開催はもちろんのこと、地方開催においての開催要項などを整備し、全国各地での開催を目指します。

また、蓄えてきた精進料理レシピの公開も検討し、一般大衆の精進料理への期待に応えることが出来る活動を進めて参ります。

国際委員会

 第23期には新たに国際委員会を設置致します。第22期において全曹青が全日本仏教青年会執行部を担いながら、世界仏教徒青年会議を通じて経験した国際交流を活かし、全曹青としての国際活動を進めて参ります。

2020年には東京オリンピックパラリンピック開催に伴うインバンド増加も予想されるなか、青年僧侶として来日される方々への曹洞禅を広くアピールする機会と受け止め、英会話教室の開催をはじめ諸々の事業を計画致します。

また、世界仏教徒青年連盟会長に全曹青顧問である村山博雅師が就任されているこの好機に他国の青年仏教徒との交流も進め、青年仏教徒としての視野を広げ、資質向上を目指します。

映画事業実行委員会

 第22期において制作された映画『典座—TENZO—』が第72回カンヌ国際映画祭批評家週間「特別招待部門」に正式出品されました。多数のご協賛を賜り制作したこの映画がこのような光栄な結果になったことは、偏に皆様のご支援ご助力のお蔭と厚く御礼申し上げます。

今後は確定しているフランス国内での公開をはじめ、日本国内での公開や各種媒体での展開を視野に入れ、映画事業実行委員会を組織し事業を進めて参ります。

特別委員会 災害復興支援部

 第22期に設置された10カ所を含むストックヤード設置寺院との連絡体制を構築し、有事の際での活用はもちろん、備蓄品の使用期限などを把握し有効利用できるよう体制を整えて参ります。

曹洞宗宗務庁総務部福祉課、東日本大震災復興支援室分室をはじめとした関係諸団体と連携を図り、有事の際の協力体制の確認のみならず防災減災に向けた取り組みを進めて参ります。

また、加盟団体との情報交換を平時より密に行い、有事における活動が円滑に行えるように努めて参ります。

今を創ろう 明日を咲かそう

 平成というひとつの時代が終わり、新たな令和の時代が始まりました。しかし、時代の移り変わりは決して断続的なものではなく、我々が生きる“今”が連続して続いている結果であります。全曹青においても歴代諸師が培ってこられた様々な活動、脈々と受け継がれてきた熱い想い、それらを護持することによって全曹青の歴史も紡がれております。その結果によって村山博雅顧問の世界仏教徒青年連盟会長就任、映画『典座—TENZO—』カンヌ国際映画祭出品がなされたと言っても過言ではありません。

そして第23期、全曹青の新たな歴史の1ページを紡いで参ります。我々が生きる“今”を見極め、“今”なすべきことを真摯に努めていくことが、明日へそして未来へ大輪の花を咲かすために必要であると確信しております。

非才不徳の身ではございますが、第23期全曹青参加者がこれまで所属青年会で培ってきた力を存分に発揮し、更なる研鑽そして実践を積み、そして全曹青で身に付けた力を所属青年会にお返しすることができるよう会務運営を心掛け、職務を全うする所存でございます。

全国ご寺院、全国会員諸師におかれましては、更なるご理解ご協力を賜りますよう伏してお願い申し上げまして、私からのご挨拶並びに所信とさせていただきます。

合掌

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