第一回電話相談員養成発展研修会

2010.09.28

第一回電話相談員養成発展研修会が、曹洞宗檀信徒会館5階研修道場にて、下記の日程で開催されました。

本研修会は、全国九管区で行われた基礎研修会を修了された方を対象としており、38名の会員諸師にご参加いただきました。

発展研修会のプログラムは、電話相談窓口を開くために必要十分な知識を習得するために練り上げられたものであったと思います。

ロールプレイ形式の研修は、基礎研修会でも多くの方から好評をいただきましたが、本研修会では、さらに多様な形式のロールプレイを行いました。基礎研修会では、基幹事業委員会が用意したシナリオを使ってロールプレイを行いましたが、今回は、自作のシナリオを使ったり、記録用紙に記入しながら相談を受けたり、対応の困難な方からの相談を想定したりと、実際の電話相談により近い場面設定で行われました。
また、ロールプレイを中心とした傾聴訓練のみならず、電話相談窓口の開設・運営、危機管理など、実際に必要となる知識についての講義も行われ、相当に凝縮された内容であったと思います。
とりわけ、社会資源の利用法については、会員諸師の耳目を引いたようです。自坊周辺の社会資源情報を中心に、市区町村・都道府県・全国単位の情報を予め集積しておけば、電話相談の場面に限らず非常に役立つものでしょう。

外部講師には、前田宥全師と精神科医の穂積登先生をお招きしました。 前田師からは、自死問題についてお話しいただいた後、参加者全員で手紙相談のワークを行い、参加者全員が、寄せられた手紙に対して返信の手紙を書いてみました。相談を受けるのは、対話形式だけではなく、手紙やメールのような形式もあります。そのような形の中で、相談者を理解し、共感を示し、支援につなげていくことを体験するというたいへん貴重な研修であったと思います。
穂積先生からは、日本における精神病在宅ケアの嚆矢といえる岩倉大雲寺の事例を引きつつ、社会的な相互扶助ネットワークの大切さなどについてお話しいただきました。精神病患者さんたちを受け入れたのは、主に岩倉の里の住人たちであったそうですが、お寺での宗教的な行がそこに組み込まれていたとのことでした。ある基礎研修会の外部講師様のお話でも感じたことですが、様々な社会的なネットワークの中で、特に老病死に関わる支援ネットワークには宗教的なものが必要となるのではないかという感想を持ちました。

今回ご参加いただいた会員諸師にとって、電話相談に限らず檀信徒の方などとのコミュニケーションに、今回の研修が糧となればと思います。受講された皆様、長時間の研修、本当にお疲れ様でした。

発展研修会日程

 

◆1日目(8 時間)

 

10:00              受付
10:45~11:15        開講諷経・開講式
<休憩5 分>
【発展研修①】
11:20~12:20(1.0 時間) 傾聴・電話相談の特徴の復習
<昼食40 分>
13:00~15:00(2.0 時間) 傾聴ロールプレイ(シナリオ自作)
<休憩15 分>
【発展研修②】
15:15~15:45(0.5 時間) 記録用紙の記入法
15:45~17:15(1.5 時間) 記録用紙ロールプレイ
<休憩15 分>
【発展研修③】
17:30~18:30(1.0 時間) 自死について考える①
                    講師:前田宥全師(東京都正山寺住職)
<夕食45 分>
19:15~20:15(1.0 時間) 自死について考える②
<休憩15 分>
【発展研修④】
20:30~21:30(1.0 時間) 社会資源の利用法
21:30~21:45 事務連絡
◆2日目(6.5 時間)
【発展研修⑤】
8:00~ 9:00(1.0 時間)   トラブルを避けるために
<休憩15 分>
9:15~10:45(1.5 時間)  対応が難しい事例の実習
<休憩15 分>
【発展研修⑥】
11:00~12:30(1.5 時間) 精神科医に学ぶメンタルケア
                    講演「精神科医が思う『僧侶によるメンタルケア』 -岩倉大雲寺にみる歴史的背景から思うこと-
                    講師:穂積登(医療法人社団慶竹会ほづみクリニック院長)
<昼食45 分>
【発展研修⑦】
13:15~14:45(1.5 時間) 電話相談窓口の開設と運営の方法
<休憩15 分>
15:00~16:00(1.0 時間) 全体のふりかえり
16:00~16:30        閉講式・解散

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