2025.06.12
全国曹洞宗青年会(以下、全曹青)は、第25期において様々な創立50周年記念事業を無事に円成いたしました。この大事業に携わる中で、曹洞宗青年会は同じ志を持つ「勝友」との出逢い・共に活動する場として青年僧侶にとって大切な会であるということをあらためて確信いたしました。
半世紀に亘る全曹青の歴史を振り返る中で、多くの諸老師、諸先輩方から当時のお話しを伺いました。仲間との思い出を懐かしみ楽しそうにお話しいただいた姿や、式典などで来賓としてご臨席された際には、旧交を温められる姿が大変印象的でありました。また、この大事業が無事に円成したのは、加盟曹青会を始めとする多くの方々のご協力を賜れた結果だと存じます。
全曹青は創立理念である「大衆教化の接点を求めて」を掲げて、人々の不安を取り除こうと様々な社会問題に取り組んでまいりました。阪神・淡路大震災以降は災害復興支援活動にも積極的に取り組み、令和6年能登半島地震においても、加盟曹青会や関係団体と連携を密にして支援活動を継続しております。
このような半世紀を歩んできた全曹青だからこそ、第26期のスローガンに「ともに歩む」を掲げ新たな一歩を踏み出そうと決意いたしました。会員数が減少する中でも、加盟曹青会より頼もしい諸兄師方のご推薦をいただきました。我々僧侶は苦悩する人々に寄り添い、手を差し伸べる存在でなければならないと考えます。青年僧侶同士が互いに手を取り合い、僧侶だからこそできること、寺院だからこそできることを今一度見つめなおし、心豊かな社会の実現に向けて歩みを進めてまいります。
今一度全国の青年僧侶が共に歩むという全曹青のスケールメリットを見つめ、会員同士の相互交流、情報の共有を行ってまいります。この10年で全曹青の加盟団体は増えたにもかかわらず、2,727名いた会員数は昨年度2,287名まで減少いたしました。今後も日本の人口減少が予測されており、会員数の減少も継続していくことが想定されます。全曹青は同じ志を抱き、同じ悩みや苦しみを共有できる仲間が集う場でもあり、研修会などを通して研鑽しあえる貴重な場でもあります。状況によってはオンラインツールなども活用し、会員同士の交流と連携がより一層活発となるよう会務運営に取り組みます。
創立50周年記念事業では、全国9管区で開催した「災害復興支援活動 研修会」を始めとする多くの事業において、加盟曹青会のご理解・ご協力をいただきました。この流れを継承し、全国の加盟曹青会と更なる連携強化を図ります。継続して参加させていただいている各管区大会の他にも、ご案内いただいている加盟曹青会の周年事業等にも積極的に参加し交流を深めてまいります。また、加盟曹青会によっては過疎や少子化によって会員数の減少が著しい地域もございます。それぞれの現状に併せた交流を図り、今後も全国にまたがる連絡協議体としてのスケールメリットを存続させてまいります。
令和6年能登半島地震と9月の豪雨災害は甚大な被害をもたらし、中長期的な支援活動が求められております。第26期においても行茶活動「お坊さんカフェ」を加盟曹青会・関係諸団体と協働しながら活動を継続してまいります。
懸念される大規模な災害に向けて、ストックヤード物品の補充体制を曹洞宗宗務庁・設置寺院と協同して再構築いたします。発災初期に命をつなぐことを目的とし、設置されているストックヤードですが、設置場所によっては使用期限が過ぎている物品もございます。さらにストックヤードの周知を進め、宗門関係者が活用しやすい補充体制を確立し運用いたします。
また、令和9年は、阪神・淡路大震災33回忌と東日本大震災17回忌にあたります。発災直後から支援活動に邁進された関係各位から当時のお話しを伺い、被災した際、または支援活動を行う際の心得の一つとなるように情報をまとめ、編集・発信いたします。全曹青災害MLをより一層活用し、加盟曹青会や宗門関係に留まらず、JVOADなどの諸団体とも連携強化を図り、発災の際には全会一致で鋭意対応を行う所存でございます。
全曹青は広報誌やホームページの他、FacebookやInstagram、YouTubeを活用しての広報活動の他にも、『曹洞宗報』や『跳龍』にも寄稿しております。それぞれの媒体の特性や読者層を意識しての発信に努めてまいります。全曹青の活動に留まらず、加盟曹青会活動の紹介も重点的に行うことにより、曹洞宗青年会全体の活発化につながることを期待します。
全曹青は創立当初、山門に掲示板を立てる運動を展開しており、広報活動にも重点を置いてまいりました。時代に即したツールの活用を模索し、多様的な情報発信を通じて、曹洞宗青年会活動の社会周知とひいては曹洞禅の普及を目指します。
戦後80年を迎えましたが、幸いなことにこの期間日本が戦火に巻き込まれることはありませんでした。先の大戦の反省を生かし、先人達が各国と親交を深め、互いに理解・尊重し合えているからこその賜だと存じます。NYタイムズ紙の「〇〇年に行くべき都市」では日本の都市が2年連続で上位選出されるなど、今後も訪日客の増加が見込まれ、国際交流がより重要となります。全曹青では英会話本を製作し、応対マニュアルとして頒布しておりますが、多くの僧侶はまだ不安を覚えているのではないかと推察されます。第26期ではこれまでに培ってきた国際交流を活用して、青年僧侶が国際経験を積むことができる企画を展開いたします。
また、村山博雅師が大乗仏教圏初のWFBY会長に就任されて以来、全曹青ではより一層国際活動を各団体と協働してまいりました。全日本仏教青年会への参加協力を維持し、これまでの全曹青が築き上げてきた国際活動の継続とさらなる発展を目指します。
冒頭でも述べましたが、曹洞宗青年会は同じ志を持つ「勝友」と縁を結ぶ会であり、「勝友」は三宝の一つ「僧」であります。創立以来継続してきた、苦悩する人々に寄り添い、会員同士が互いに切磋琢磨し尊重しともに歩む姿を、未来へと繋げてまいる所存でございます。
全国御寺院様、会員諸師には更なるご理解ご協力をお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。
全国曹洞宗青年会第26期会長
宮本昌孝 合掌
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