第18期会長 退任にあたって

2011.05.20

全国曹洞宗青年会
第18期会長 久間 泰弘

230519第18期全曹青の任期満了にあたり、執行部一同を代表しまして退任のご挨拶を申し上げます。

第18期では「いのちの声に耳を澄ます」のスローガンを掲げ、混迷し苦悩する現代社会に対し、私たち青年宗侶における慈悲行への具体的実践と自己省察の深化に取り組んで参りました。その活動の基幹に据えた「電話相談員養成研修」においては、予想を大きく上回る参加者を得ることが出来ました。研修会受講では、自らの内面の傷や欠点を認識する事になり、必ずしも良い面だけを我が身に引き受ける事が出来る訳ではありませんが、自己受容の過程を経て始めて他者を理解できる、自己他己に徹底する、ということに繋がっていくものなのだと実感することが出来ました。また、各管区での研修会開催には、各曹青会員と全曹青の距離感を縮め、その意識を共有したい思いが強くございました。結果的に、基幹事業委員会の活躍を中心に、執行部事務局や出向者各位の尽力は勿論のこと、各管区理事、各管区曹青会、各曹青会の皆様にも多大なるご理解ご協力を頂きまして、全9管区での管区研修会を開催することが出来ましたこと、心より御礼を申し上げます。

基幹事業委員会においては、『観世ふぉん』といった実際の電話相談窓口も開設し、研修会修了者とともに現在も運営し、第19期に移りましても継続していく予定です。

また、今期は前期からの組織改編を受けて委員会の再編にも取り組みました。その中で留意したのは、委員会や委員間の連携と弾力のある活動の実現でした。総合企画委員会では多くの斬新で実のある企画を展開、広報委員会では高いデザイン性を保ちつつ、僧侶観の深化醸成や批判精神の喚起を、法式委員会では宗侶の自覚実践すべき法要清規に取り組んで頂きました。各委員会には限られた予算の中にあって、それぞれが試行錯誤を重ねて文字通り大車輪の活躍を頂き、各事業を精力的に推進して頂きました。

災害対策については、第18期二年間を通して、各曹青会における災害復興支援活動の主体性と独自性を尊重するために組織整備を進めて参りましたが、平成23年3月には東日本大震災に襲われました。当災害においては、地震、大津波、更には原発事故といった惨状に見舞われておりますが、現在のところ被災地曹青会をはじめとした各曹青会の積極的且つ献身的な復興支援活動が実現され、今期災害対策整備の方向性が誤りでは無かったことに安堵をしているところです。今後もこの活動が継続されます事と更なる組織整備がなされていく事を念願するところです。

会務会則に関する特別委員会では、全曹青の将来像を見据えて、より良い会務運営を目指し、執行部理事各位と議論を重ねて参りました。直ちにその全てを実現可能な訳ではありませんが、次期全曹青にも繋がる有意義な目標を共有することが出来ました。

基幹事業、各委員会活動、災害対策、特別委員会など、連絡協議体を標榜する全曹青として全国曹青会員各位との相互理解を常に念頭に置いて参りました。全曹青が目指す連絡協議会とは、各地域のあり方、各曹青会の活動内容を知るという事は勿論のこと、それらを認識するということは、僧侶として必要な資質である、他者の持つ価値観や、他者そのものへの洞察を培う道場なのだと実感しています。どこまで進んでいっても慈念衆生の立場を忘れない。自らを問い続け、その問いが自身の内に満ち満ちて外界に溢れ出ていくとき、その問い自体が慈悲心の発露に繋がっていく。この信仰が全曹青活動における要諦であり、「大衆教化の接点を求めて」という全曹青メインテーマに帰結されていくものと強く信じています。

さて、私は今期において自身の至らなさを痛感させられる場面ばかりでした。しかし、執行部理事各位から委員会委員各位に至る、優秀で意識ある出向者全員に第18期の最後の最後まで支えられ、私自身のその浅学を自覚する度に一歩前進し、その非才に打ちひしがれる度に、また一歩前進することが出来ました。同時に、全国宗門寺院の皆様からのご協力や曹洞宗宗務庁諸老師よりの懇切丁寧なご指導を賜りましたこと、各曹青会評議員各位を始めとした全国の曹青会員一人ひとりとも得がたい勝縁を多く頂戴致しましたことは、無上の喜びでとするところでした。ここにあらためて感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。

最後になりましたが、各曹青会のご隆昌と全国曹青会員各位の益々のご活躍を祈念致し、第19期全曹青にもこれまで以上のご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私よりの退任の挨拶と致します。

合掌

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