第24期会長 山田俊哉 所信表明

2021.05.21

所信表明

第24期会長 山田俊哉

 この度の新型コロナウイルスによるパンデミック、いわゆるコロナ禍では、世界中で絶対的な不自由と困難を強いられたのは言うまでもありません。膨大な数の感染者と死者、海外では都市が封鎖され、日本でも緊急事態宣言が幾度も発出される状況が、現在まで続いています。感染抑制のため世界中の人や物の動き、経済活動が制限され、対面でのコミュニケーションが難しくなりました。日本でも行事は中止となり外出自粛やリモートワークが推奨され、オンライン形式への置き換えが急速に進みました。

 これまでの対面を基本としていた社会に、根底から覆るほどの変化が生まれ、まだ先と考えられていた新しい生活様式が、一足とびに展開しました。まさに、Paradigm Shift(パラダイムシフト/価値観や概念が劇的に変化すること)が起こりました。

 人々は否応なく変化に飲み込まれながらも、余儀なく適応しつつあります。オンラインによるコミュニケーションはすでに日常となり、距離に関わらずネットワークを構築できるようになりました。進んでしまった時計は戻らず、社会活動の効率化とオンラインへの需要は今後も加速していくことでしょう。

 東日本大震災とその後も度重なる自然災害、そしてこのコロナ禍にあり、人々の不安は徐々に想像からリアルになりました。また SDGs の考え方が浸透し、世界が持続するために乗り越えるべき課題が目の前にあることを、自分事として考えるようになりました。

 仏教、お寺、そして各僧侶を取り巻く環境もまさにパラダイムシフトの只中にあります。「伝える」だけではない「つながる」へ。社会の変化と要求を見極め、応えることができるよう求められています。人々の生活空間の中に入っていくことが難しいこの社会で、僧侶だからこそできることはきっとあるはずです。

大衆教化の接点を求めて、自由で創造的な活動を通じ、心豊かな社会の形成のために。

第24期 スローガン
Paradigm Shift

 コロナ禍で自宅時間が多くなったことで、オンラインでのコミュニケーションや動画サービスの活用が新しい生活様式として定着しました。
 全国曹洞宗青年会(以下、全曹青)では、時勢と社会の要求に合わせ、不安を募らせる方々へ寄り添うために、オンラインを活用した新たな取り組みを積極的に行っています。精進料理や坐禅、写経の動画やパンフレットの配信や画面越しに同時に取り組むオンライン坐禅教室、オンライン法要など、事業は多様な広がりを見せています。このオンラインの活用は一時しのぎで終わらせるのでなく、様々な事業に取り入れ、会として今後の大きな柱として活用していきたいと考えております。
 また各寺院で檀信徒との対面交流が難しい中でも有効な教化手段としてお使いいただけるよう、頒布物の積極的な活用と新たな企画を行います。

 広報誌やホームページの他、FacebookやInstagram、YouTube の活用により、今まで接点のなかった広い対象の方々との新たなつながりが生まれています。全曹青の活動に理解を得るための積極的な発信を行うと共に、加盟曹青会活動を重点的に紹介したいと思います。加盟曹青会活動に寄り添う広報活動が、全曹青全体の活発化につながると期待します。
 メディアやオンラインコンテンツが多様化し情報が氾濫する昨今の状況では、目を惹きつける魅力的なビジュアルがあるかどうかで、受け止められ方が違ってきます。国内、そして海外に向け、ビジュアルを意識した効果的な情報発信を行います。
 これまでの全曹青の社会発信事業を継承発展させながらさらなる可能性を模索し、活動の周知と曹洞禅の敷衍を目指します。

 創立 50 周年を次期に控えます。特別な節目に当たり全曹青の歴史に深く敬意を表し、未来へ、全曹青と次世代青年僧侶の可能性・期待を膨らませられるような、相応しい行事を準備したいと存じます。
 また、事業へ向けての足がかりとして、各管区や加盟曹青会との連携、ネットワークを強化することを意識した企画と広報を行っていきます。加盟曹青会だけではできないことも、全曹青や他曹青会と協働することで可能性が広がります。全国連絡協議体としてのスケールメリットを、会員と加盟曹青会により感じていただき、そして未加盟曹青会にアピールできるような組織体を目指したいと思います。

 甚大で広範囲な自然災害が多発する昨今、一層の災害支援体制の強化が急務です。しかし、コロナ禍における支援活動の制限という新たな課題もあります。
 曹洞宗宗務庁と締結した「災害相互協力協約」を活かした宗務庁総務部福祉課、復興支援室分室、SVA、曹洞宗婦人会などとの連携、さらに新規加盟した全国災害ボランティア支援団体ネットワーク「JVOAD」のネットワークを活かし、関係諸団体と連携し、ともに活発で円滑な復興支援活動が行えるよう、平素から連携を図ってまいります。予想される大規模災害に備えシミュレーションや研修会を行い、発災の際には全会一致で鋭意対応を行う所存です。

 国際委員会を継続設置します。往来が難しい状況が続いていますが、オンラインを最大限に活用し、英語によるオンライン坐禅教室や動画配信を企画します。全曹青より会長・役員を輩出する世界仏教徒青年連盟(WFBY)や、国際事業を担当している全日本仏教青年会と協動しながら、これまでの全曹青が築き上げてきた国際活動の継続とさらなる発展、そして曹洞禅の国際的価値を高め、青年僧侶の国際的視野を広げる活動を検討してまいります。

 過疎問題は特に地方寺院を取り巻く喫緊の課題となっています。曹洞宗宗務庁においては「過疎地寺院振興対策室」が設置され、宗門をあげての取り組みが行われています。前期全曹青にては基幹事業として、その実情把握や分析に意欲的に取り組みました。まさに SDGs が目標とするところの持続可能な社会を実現するための取り組みです。今期も引き続き曹洞宗宗務庁関係部署と連携して事業に取り組み、各地寺院や活躍する青年僧侶の取り組みを紹介することで寺院と過疎地域の活性化につなげてまいります。
 また、社会の多様性への理解を推進することと、物心両面からのバリアフリー化は、現代社会における重要課題です。現在のオンライン事業は視覚または聴覚に頼るコンテンツ配信が中心で、障害を持つ方や日本語が話せない海外の方を取り残している可能性があります。
 全曹青は「曹洞宗 SDGs 推進委員会」に参画しています。人と顔を見て会えない今、触れ合うことのできない今だからこそ、誰一人取り残さない、新たなバリアフリーを目指して、会員の理解と意識を更に高めてまいります。

 平成 19 年能登半島地震で被害を受けた大本山總持寺祖院の復旧と落慶、また令和 3 年の大本山總持寺開創700年を受け、禅の歴史や文化の更なる魅力発信とそれに伴う地域活性化を地元自治体と共に取り組む「禅と海 里づくり・交流促進プロジェクト~大本山總持寺開創 700 年~」が発足されました。全曹青は大本山總持寺、大本山總持寺祖院、行政等による合同プロジェクトに参画しています。9 月に厳修される慶讃法要・御両尊御征忌会では全曹青記念イベントを計画しております。この勝縁に出会えることに感謝し、次代の宗門興隆を担う青年僧侶として、報恩の誠を捧げたいと存じます。

 社会情勢を踏まえた補助金や賛助金の減少により予算が一層厳しくなっており、より健全で効率的な財務運営に努めます。
 各会務や会議、組織体の運営は青年僧侶にとって貴重な経験の場となります。各配役にあたる個々人の適性や負担に注意をはらい、有意義な会務運営となるよう心がけます。
 前年コロナ禍により導入されたオンライン会議は、顔を合わせ意見を交わすことのできないもどかしさとコミュニケーション不足による会務運営への懸念を大いに感じながらも、オンラインの有用性を認識することとなりました。また経費削減に寄与し、新たな事業の創造につながります。今後も必要に応じて柔軟に取り組みを進めてまいります。

 第22期は、国際事業を展開し、世界へ船を漕ぎ出し、活躍の舞台を大きく拡げました。
 第23期は、持続可能な社会の為に、足元を見つめ、明日に花を咲かすべく種をまきました。
 種は今、確かに芽吹き、この荒波を乗り越えるべく、世界に向けて懸命に背を伸ばしています。

未来からは今年がどう見えるのか。

 今の全曹青はまさに歴史的な転換期、パラダイムシフトの真っ只中にいます。我々会員それぞれが、コロナ禍の後を見据え、新たな青年会の活動と青年僧侶の役割を自覚し、まさに新しい時代を切り開いていきたいと思います。全曹青の歴代の経験を踏まえ、来る創立 50 周年とさらにその先を見据えた時間軸と、日本全国の枠を超え海外、そしてオンラインへの活動の広がり。そのコラボレーションによって、新たなイノベーションが起こります。この新しい世界観をつくることは一人ではできません。多くの会員が同じイメージを共有し、その世界観を保ち、つくり続けなくてはなりません。

 いまこそ全国曹洞宗青年会がそのスケールメリットを活かし、青年僧侶の情熱をもって新たな挑戦をする必要があると確信します。当会のシンボルマークは、燃え上がる青年僧侶のエネルギーを八本の光として八正道の中に図案化し、それを法界定印でしっかりと支え包み込み、突き抜ける上部から未来に向かって無限を指向するものです。突き進む我々の先にはまるで太陽のようなこのマークがあります。太陽に向かって進む我々は、けっして影を踏みません。失敗を恐れることなく、会員一同邁進してまいります。

全国御寺院様、会員諸師には更なるご理解ご協力をお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。

合掌 

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